さて、現在の「今尾鍋」の前に、 この「女体」の
ことについてお訊きしたいんですけど、なんでまた
こんなすごいものを創ろうと思われたんですか?



とりあえず、どこまで出来るかを見せたかったんよね。
何にも無い状態で、出来てないものを言ったって、
相手には伝わらんでしょ。
だからこの時は「つくる」だけで、
「どっかで個展しよう」とか「どこに売ろう」
なんていう目標は無かったね。
ただ、「こういうつくり方したらどうなるんやろ」
みたいな、自分への挑戦の部分が大きかったよね。
そうやってつくっていくうちに、まあ完璧じゃ
ないけど、 「鍛金してます」と自分で言えるように
なってきたんやないかな。



でもまあ、こういった鍛金作品をつくって、
すぐにお客さんがくるものでもないですよね。
だからと言って「売りやすい」鍋を
つくった訳じゃないですよね。



うん。実はこの「女体」よりも前から
鍋はつくってて、まあそれ以前と以後では
出来はだいぶ違うよね。
まあ本当は何だろうが一緒のことで、
やっぱり基本が無いと何にも出来ないもん。


ところで、この鍋、売れてますか?



まあ大袈裟にバカ売れすることはないよね。
どうしても生活用品だし、今は実際のところ
手入れしなくていい「アルミ」や「ステンレス」
が主流だしね。



いろんな形がありますけれども、 これは量 産は
出来ないんですか?



出来るんだけど、飽きてくるんよ。
まあフライパンで2日、鍋で4日なんていう計算を
すると、1ヶ月でできるものって解っちゃうから。
それによくデパートで売ってる「プレス」
でつくったものみたいにはしたくないし。
まあ、金額的には安いものじゃないけど、
自分の手でつくりたいから。